過払い金 へ戻る。
「印刷できる行数以上,改行した場
合には,表示右上に“ERR”と表示されます。」と記載されてい
る。
証拠(甲297)によると,カシオ社KL−1000は平成3
年11月15日に発売されたと認められるが,上記取扱説明書(甲
206)には,「1992年10月現在」と記載されているから,
上記取扱説明書は,特許発明10に係る特許出願(平成3年12月
26日)前に頒布されたとは認められない。
また,カシオ社KL−
1000の実機が特許発明10に係る特許出願(平成3年12月2
6日)前から上記取扱説明書記載のような内容のものであるとも認
められない。
特許発明10の構成は,所定行数に対応する個数以上の「改行
データ」の入力を禁止するものである。
しかるところ,カシオ社K
L−1000の上記取扱説明書の記載によると,表示右上に“ER
R”と表示されるのみで,「改行データ」の入力を禁止するもので
あるかどうかは明らかでない。
また,弁論の全趣旨によると,カシ
オ社KL−1000の実機においては,印刷できる行数以上改行し
た場合には,表示右上に“ERR”と表示されるものの,液晶上に
は改行マークが挿入されることが認められる。
そして,「改行デー
タ」の入力を禁止することとエラー表示をすることは,技術的に異
なる事項であって,エラー表示をすることから直ちに「改行データ」
の入力を禁止することを想起するということはできない。
したがって,上記取扱説明書の記載又はカシオ社KL−1000
から,特許発明10に無効事由があると認めることはできない。
(b) キングジム社の従業員は発明者か
平成3年3月6日に一審被告からキングジム社宛てに提出された
「UR−55(PT−EXCEL)仕様及び概略御見積」18頁(甲
207)には,「〈エラー条件〉1.RETURNキー押下により行
数が9行を越えるとき」と記載されている。
しかし,この文書は,一審被告からキングジム社宛てに提出され
たものであって,同文書に記載されていたからといってキングジム
社の従業員が特許発明10の発明者であるということはできない
し,同文書には,特許発明10の構成?,すなわち,所定行数に対
応する個数以上の「改行データ」の入力を禁止することは記載され
ていないから,いずれにしても,キングジム社の従業員が特許発明
10の発明者であると認めることはできない。
したがって,特許発
明10を一審被告が単独で出願したからといってキングジム社との
契約(甲139)に違反するとは認められない。