大阪市における定数内特別昇給は,本件職員給与条例5 条6項及びこれと同旨の本件交通局給与規程7条7項,本件水道局給与規程 6条6項,本件市費負担教職員給与規程4条1項,本件単純労務職員給与規 則13条に反するものであったから,平成16年度に定数内特別昇給として された昇給期間短縮の措置(支出負担行為)はいずれも違法である。
そこで,これによって大阪市が被った損害について検討する。
ア上記第2の2(4)のとおり,平成16年度の定数内特別昇給の実施によ る影響額は,次のとおりである。
(ア) 市長部局(単純労務職員を含む。) 5億3839万3987円
(イ) 水道局3372万9178円
(ウ) 交通局1億6107万8904円
(エ) 教育委員会所管の学校園の教職員
a 教員3692万3646円
b 教員以外の職員4261万0245円
イところで,後記のとおり,国家公務員の定数内特別昇給制度は,少なく とも結果においては,大阪市のそれと同様,全職員を対象として順番に昇 給をしたのとほとんど同様の実態にあったものであり,これを前提とする と,仮に,大阪市が上記違法とされた平成16年度の定数内特別昇給を実 施せず,国と同じ定数内特別昇給(15%の職員に対して1号給の昇給措 置)を行ったとして,その場合の影響額は,計算上,次のとおりとなる。
(ア) 市長部局(単純労務職員を含む。) 6億4684万0022円 (計算式)6624円×22.2744×(29,229×0.15(昇 給者数)) =6億4684万0022円
(イ) 水道局4786万8920円
(計算式)6625円×22.2323×(2,170×0.15) =4786万8920円
(ウ) 交通局1億7988万5071円 (計算式)6669円×22.292×(8,072×0.15) =1億7988万5071円
(エ) 教育委員会所管の学校園の教職員
a 教員5535万8439円
(計算式)9532円×22.6861×(1,708×0.15) =5535万8439円
b 教員以外の職員5924万8532円
(計算式)6149円×21.9988×(2,921×0.15) =5924万8532円
ウ本件職員給与条例における特別昇給が,国家公務員における特別昇給に 準ずるものとして規定されたと解されることは上記のとおりであるとこ ろ,上記ア,イからすると,仮に,大阪市が上記違法とされた平成16年 度の定数内特別昇給を実施せず,国と同じ定数内特別昇給(15%の職員 に対して1号給の昇給措置)を行ったとするならば,計算上,大阪市が上 記定数内特別昇給を実施した場合より多額の金員を支出していたことにな る。
そうすると,平成16年度の大阪市における定数内特別昇給により大 阪市が損害を被ったとまでは認めることはできないというべきであり,他 にこれを認めるに足りる証拠はない。
(8) 仮に,平成16年度の大阪市における定数内特別昇給の実施により大阪 市が損害を被ったといえるとしても,後記5項で判断するとおり,大阪市に おける本来的な給与決定(支出命令)権限者(市長,水道局長,交通局長) 及び専決によりこれらの者の権限を行使することとなった者(総務局長,教 職員課長)において上記実施について過失等があったとは認められない。
5 過失等の有無(本案の争点2)について
(1) 控訴人らは,大阪市の定数内特別昇給を実施した者が,勤務成績を問わ ずに広範囲の者を対象とする違法なものであることを十分に認識し得たと主 張する。
そこで,平成16年度における定数内特別昇給としてされた昇給期 間短縮の措置(支出負担行為)に当たり,平成16年度の総務局長(E)及 び教職員課長(H)に故意又は重過失があったか否か,市長(A)にこれら の者に対する指揮監督上の権限不行使に故意,過失があったか否か,平成1 6年度の水道局長(L)及び交通局長(P)に故意又は過失があったか否か を検討する。
(2) 上記前提事実によれば,国家公務員に対する昇給制度は,一般職給与法 8条6項に普通昇給が,同条7項に定数内特別昇給が規定され,定数内特別 昇給の要件として,勤務成績が特に良好であるとの要件が規定されていたこ と,本件昇給基準37条及び37条の2には,その具体的要件として,国家 公務員法72条を受けた勤務評定政令及び勤務評定府令の定める手続により 成績が一定以上と決定されたことと規定していたから,国家公務員に対して は,定数内特別昇給を厳正な成績評価に基づいて運用するための関係法令が 整備されていたというべきである。
金銭消費貸借において支払われた超過利息
被控訴人は,控訴人の超過利息の支払については,法43条1項のみなし弁済が成立することを当然の前提として受領してきたのであり,過払金の発生時において控訴人の損失と被控訴人の利得との間に法律上の原因がないことを知っていたわけではないから,被控訴人が過払金を取得したことについては悪意の受益者ではない旨主張するが,金銭消費貸借において支払われた超過利息については,実体上,貸主がこれを法律上保持する原因はなく,借主の返還請求に対して,貸金業者である貸主が,抗弁として主張するみなし弁済の成立が立証されたときに,同返還請求の行使を阻止することができるに止まる性質のものであるから,被控訴人の上記主張は理由がない。 また,被控訴人は,抗弁に関する認識によって,請求原因に関する悪意の有無が左右されないとする控訴人の主張は,不当利得の問題と,立証責任の問題とを混同するものである旨主張するが,被控訴人が,超過利息の支払であることを認識してこれを受領したことが認められることは当然の前提となっており,みなし弁済の抗弁が立証されてはじめて,債務者からの過払金の返還請求権の行使を阻止することができるに止まることは上記のとおりであるから,この点に関する被控訴人の主張も採用することができない。 そのほか,被控訴人は,「法律上の原因がないこと」の要件には「制限利息を超える利息・損害金を受領していること」だけで足りず,「みなし弁済が成立しないこと」も含まれると解すべきであること,みなし弁済が認められないことが確実となったのは,前記最高裁判所平成18年1月13日判決以降のことであり,それまでは被控訴人も,みなし弁済が認められるものと信じていたこと等を主張するが,これらの主張がいずれも採用できないことは,上記の説示から明らかである。 なお,悪意の有無が行為時を基準として判断されるべきであることは被控訴人の指摘するとおりであるが,当該行為時において被控訴人の悪意が認められることも上記のとおりであり,後にみなし弁済が否定されることにより,遡って被控訴人の悪意を認定するものではないから,この点に関する被控訴人の主張も採用することができない。
しかし,証拠(乙9の1・2,11,1 2)及び弁論の全趣旨によれば,定数内特別昇給は,その具体的運用は各省 庁の判断に任されており,成績主義の原則に則った適正な運用が図られるべ きであるとされていたが,国家公務員の勤務評定は,評定の項目が必ずしも 適切ではなく,評価の基準が具体的に設定されておらず,評価結果の用途が 明確にされてないこと等の問題点があることから,十分に機能するものとは なっておらず,公務員制度改革に当たり,現行の勤務評定に替え,職員の能 力や業績を適正に評価し得る新たな評価制度を整備する予定との政府答弁が 平成14年にされていたこと,人事院による平成11年度の調査段階で,昭 和45年に採用された職員(中級,初級)の特別昇給回数には平均で2回弱 の差しかなく,最多回数では約6回,最少回数でも約4回,平均で4回から 5回程度実施されていたことが認められる。
このように,成績評価のための関係法令が整備されていながら,これが十 分に機能しないと指摘される中で,国家公務員が約30年で平均4〜5回の 特別昇給を受けているということは,全職員を対象として,5〜6年に1回 程度,成績を度外視して順番に特別昇給を実施しているのと,結果としては ほとんど差異がないといってよい状態にあったものであり,大阪市における 本来的な給与決定(支出命令)権限者(市長,水道局長,交通局長)及び専 決によりこれらの者の権限を行使することとなった者(総務局長,教職員課 長)は,このように,国の定数内特別昇給制度が,少なくとも結果において は,大阪市における定数内特別昇給と同様,全職員を対象として順番に昇給 をしたのとほとんど同様の実態にあったと認識していたものである(乙23 ないし31,弁論の全趣旨)。
(3) 一方,上記前提事実に,証拠(甲2,乙23ないし31)及び弁論の全 趣旨を総合すると,大阪市における定数内特別昇給制度は,職員の勤労意欲 の向上と,国や他の地方公共団体との均衡にかんがみ,昭和34年度から実 施された制度であり,昇給の対象者及び効果月数は年度によって変動はある ものの,制度の骨子は平成16年度に至るまで特段の変更はなく,当初から 平成16年度まで一貫して国家公務員に対する定数内特別昇給の総ボリュー ム(定数の割合に短縮月数を乗じたもの)の範囲内で実施され,現に,大阪 市における定数内特別昇給による影響額は,国基準を当てはめた場合よりも 低額であったこと,平成16年12月23日から全国紙で「ヤミ昇給」と指 摘されるまで,大阪市における定数内特別昇給が違法であるとの指摘が具体 的にされなかったこと,大阪市における本来的な給与決定(支出命令)権限 者(市長,水道局長,交通局長)及び専決によりこれらの者の権限を行使す ることとなった者(総務局長,教職員課長)は,これらのことを認識してい たことが認められる。
(4) そうすると,大阪市における本来的な給与決定(支出命令)権限者(市 長,水道局長,交通局長)及び専決によりこれらの者の権限を行使すること となった者(総務局長,教職員課長)において,定数内特別昇給の対象者が 勤務成績が特に優秀であるとの認定手続を経た者ではないと認識していたと しても,そのことを違法であるとする具体的な指摘がなかったこと,国家公 務員の定数内特別昇給制度が,少なくとも結果においては,大阪市のそれと 同様,全職員を対象として順番に昇給をしたのとほとんど同様の実態にあっ たこと,大阪市の定数内特別昇給制度が,当初から一貫して国家公務員に対 する定数内特別昇給の総ボリュームの範囲内で実施され,現に,大阪市にお ける定数内特別昇給による影響額は,国基準を当てはめた場合よりも低額で あったこと,平成16年当時は,国の給与法と異なり,本件職員給与条例に は,定数内特別昇給の要件として,「職員の勤務成績が特に優秀である場合 その市長が特に必要と認めた場合」と定めて,文言上は,「職員の勤務成績 が特に優秀である場合」が例示として規定されるにとどまっていたことなど から,昭和34年から長年にわたって継続している定数内特別昇給制度につ いて,これが本件職員給与条例の趣旨に反して違法の疑いがあると認識する ことなく,従前の枠組みどおりに運用してしまったことに,過失を認めるこ とはできないというべきである。
同様に,平成16年度における定数内特別昇給としてされた昇給期間短縮 の措置(支出負担行為)に当たり,同年度の総務局長(E)及び教職員課長 (H)に重過失があったとは認められず,市長(A)にこれらの者に対する 指揮監督上の権限不行使に故意,過失があったとも認められない。
また,同 年度の水道局長(L)及び交通局長(P)にも,同年度の定数内特別昇給と してされた昇給期間短縮の措置(支出負担行為)に当たり,過失があったと も認められない。
そして,そうである以上,これらの昇給期間短縮の措置(支 出負担行為)を前提としてされた給与の支出(支出命令)につき,上記の各 支出権限者に過失等を認めることもできない。
6 まとめ
以上の次第で,控訴人らの本件訴えのうち,監査請求のされた平成17年3 月18日から1年以上前にされた財務会計行為(平成7年度から平成15年度 の定数特別昇給に係る支出)に関する部分(控訴の趣旨2項,3項(2),4項(2), 5項,6項の各請求のうち,上記各年度の定数内特別昇給に係る支出に関する 部分)については,監査請求期間を経過したことにつき正当な理由を認めるこ とができず,賠償命令の対象となる者について損害賠償請求を求めた部分(控 訴の趣旨3項(1),4項(1)の各請求に係る部分)は訴訟類型に適合しない不適 法なものであるから,いずれも却下し,その余の部分(控訴の趣旨2項,3項 (2),4項(2),5項,6項の各請求のうち,平成16年度の定数内特別昇給に 係る支出に関する部分)は,この定数内特別昇給により大阪市が損害を被った とまでは認めることができず,また,当該財務会計行為をするについて過失等 を認めることができないから,これを棄却すべきである。
第4 結論
よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし て,主文のとおり判決する。
〔10〕【特許第●●号(特許発明10,出願日平成3年12月26日)】
a 特許発明10の構成
特許請求の範囲請求項1の記載に従って分説すると,以下のとおり である。
b 実施の有無
c 無効事由と発明者性
(a) 無効事由の有無
カシオ社KL−1000の取扱説明書64頁(甲206)には, 「2行以上文字を打ちたいときは改行をします。
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